日本の料理に欠かせない「だし」の魅力と離乳食に取り入れる方法

日本の料理に欠かせない「だし」。だしは、昆布やかつお節、煮干し、干し椎茸などから抽出した旨味成分をベースに作られており、料理に深みを与える重要な存在です。その風味豊かな味わいは、大人だけでなく赤ちゃん味覚形成にも良い影響を与えてくれます。

本記事では、だしの魅力とだしの取り方、そして安心・安全なだしの選び方について解説します。

日本の料理を支える「旨味」の秘密

だしの特徴は、「旨味(うまみ)」と呼ばれる味覚成分にあります。旨味は、甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ基本的な味覚の一つで、料理に深みとコクを与えます。

赤ちゃんの味覚は生後間もなくから発達を始め、甘味を好む傾向がありますが、旨味を適切に取り入れることで、食への興味を広げられます。

< だしに含まれる代表的な旨味成分 >

  • 昆布:グルタミン酸
  • かつお節:イノシン酸
  • 干し椎茸:グアニル酸
  • 煮干し:イノシン酸+脂肪酸

これらの旨味成分は単体でも美味しいですが、組み合わせることで相乗効果が生まれ、さらにうま味が引き出されます。

離乳食におけるだしの役割

離乳食は、赤ちゃんが母乳やミルクだけでは不足してしまう栄養素を摂れるようになるための、重要なステップです。この期間にだしを取り入れることで、3つのメリットがあります。

塩分を控えて自然な味付けができる

赤ちゃんの内臓はまだ未発達なため、塩分の取りすぎは健康に悪影響を与える可能性があります。だしを使うことで、塩分を控えながらも美味しいと感じる味付けができます。

味覚が育つ

離乳食からだしを取り入れることで、旨味に対する感受性が高まり、味覚の幅が広がります。これは、将来的に好き嫌いが少ない子に育つ可能性を高めるとも言われています。

消化吸収を助ける

かつお節に含まれるイノシン酸は消化を助ける成分が含まれているなど、赤ちゃんの消化器官への負担を軽減します。

月齢別おすすめの「だし」と取り方

初期(5〜6ヵ月頃)

離乳食がスタートしたばかりの赤ちゃんには、昆布だしがおすすめ。昆布だしは味がマイルドで、まだまだ未熟な赤ちゃんの消化器官にも優しく、アレルギーの心配もほとんどありません。

ただし、昆布だしはヨウ素が多く含まれているため、毎日食べさせる場合はヨウ素の過剰摂取にならないように、水出しなら4倍、煮出しなら8倍程度に薄めましょう。1日に大さじ1杯程度が目安です。時々食べさせる場合は、過剰に心配する必要はありません。

昆布だしの作り方
  1. 昆布の表面をかたく絞ったふきんなどで拭き、水につける。※水1ℓに対して昆布20cm(20g)が目安
  2. 冷蔵室に入れ、一晩浸けたあと昆布を取り出す。
  3. 鍋に入れて火をかけ、沸騰する直前で昆布を取り出す。※冷蔵室に一晩おくだけでもOK

おかゆや野菜ペーストに加えると、風味が豊かになります。

中期(7〜8ヵ月頃)

この頃から、かつお節や煮干しを使っただしを試してみましょう。ただし、煮干しを使う場合は、塩分や脂肪分が少ないものを選ぶのがポイントです。

鰹だしの作り方
  1. 鍋に水500mlを入れ、沸騰させる。
  2. 沸騰したら鰹節(10g程度)を加え、弱火で2〜3分煮る。
  3. 火を止めて少し置き、キッチンペーパーやこし器で濾す。

かつお節には、肉や魚と同じうま味成分であるイノシン酸が含まれています。香りがよく煮出し時間も少なく済むので扱いやすいだしです。

後期(9〜11ヵ月頃)

食べられる食材が増えるこの時期には、昆布とかつお節を合わせた「合わせだし」や、干し椎茸を使っただしも取り入れるのがおすすめ。より複雑で奥深い味わいを楽しめます。

<材料>

  • 昆布:10cm
  • 鰹節:2袋(10g)
  • 水:2カップ(400ml)
合わせだしの作り方
  1. 鍋に固く絞ったふきんなどで拭いた昆布を入れ、15〜20分おいてから中火にかける
  2. 煮立つ直前に昆布を取り出して、かつお節を入れ弱火で2〜3分煮て火を止める
  3. かつお節が鍋底に沈んだら、ペーパータオルを敷いたざるで濾す

昆布とかつお節を合わせることで、うま味成分が7倍になるとも言われています。離乳食があまり進まない赤ちゃんにもおすすめです。

安心・安全なだし選びのポイント

赤ちゃんに使うだしは、なるべく添加物が含まれていない天然素材のものを選びたいところ。市販の粉末だしやだしパックを利用する場合は、化学調味料や保存料が含まれていない無添加のもの、また減塩もしくは無塩のものが最適です。

まとめ

だしは日本の料理に欠かせないだけでなく、離乳食にも最適な食材です。自然の旨味を活かしただしを上手に取り入れることで、赤ちゃんの味覚を育て、健康的な食生活の土台を築いてあげられます。

多めにだしを取って製氷皿に小分けで凍らせると、少量ずつ使えて便利ですよ。冷凍の場合、1週間ほど保存可能です。